「言っただろ」

リュートは姿勢を変えながら、青年に言う。

「お前は将軍家の護衛なんだから、城内でも我が家同然に歩いてOKだって」

「しかし将軍」

青年が言う。

「そんな俺が、どこかの間者だったらどうされますか。将軍の御命さえ危うく…」

「あーうるせーうるせー」

どちらが将軍なのか、という口調で、リュートは黙らせた。

「お前はヒノモト護衛部隊『番犬』の中でも特に優秀な手練れだろうがよ」