天神学園のお忍びな面々

軒先から、滝のように滴り落ちる雨。

止む気配はない。

「うん、そうなの。ごめんねディア。リューク君にはもう少し待ってもらって」

スマホでディアに連絡を入れ、美緒は溜息をついた。

リューク達の為に買い出しに出かけたつもりが、逆に迷惑をかけてしまった。

「リューク君とディアに、悪い事しちゃったねえ」

申し訳なさそうな顔をする美緒。

雨に濡れて散々な目に遭ったのは自分だというのに、他人の事を心配する辺りは美緒らしい。

昔から彼女はそうだった。

美緒のそういう所が、レオは好きだ。

ディアにも、レオにも、分け隔てなく優しく接する。

姫として育てられてきた時分からだ。

真の素性が明かされた今も、それは変わる事はない。

身分からの優越感ではなく、心根から来る優しさなのだと、レオは思っている。