それは突然だった。

唸り声のような音と同時の、一際強い風。

レオの手元から傘が吹き飛ばされ、2人は雨曝しにされる。

「わ、悪い、美緒!」

慌てて傘を追いかけるレオだったが、相当な強風だったのか。

傘の骨組みは捻じ曲がり、最早傘としての用を為しそうにない。

「参ったな…」

冷たい雨に晒され続ける2人。

このままではレオはともかく、美緒は風邪を引きかねない。

「レオ」

美緒がレオの手を引いた。

近くのシャッターの閉まった店の軒先、そこに避難する。

雨宿りの必要があった。