渋々。

豆柴は牡丹の渡した一升瓶を受け取る。

「…って、瓶が空です。もう全部飲んでるじゃないですかっ」

これでは酌のしようがない。

文句を言おうと牡丹を見ると。

「ちょっ…」

グラリと傾いた牡丹は、豆柴の太股に正面から突っ伏して、何だかいかがわしい格好になって眠ってしまっていた。

「何ていう破廉恥な格好ですかっ!」

せめて、せめて横を向いてくれっ!

牡丹の体を何とか動かし、膝枕にして溜息をつく豆柴。

虜囚の前で前後不覚になるほど飲み、挙句寝入ってしまうとは。

この世界の侍は、随分と抜けている。

それとも、羽目を外してしまったのか。

この仏頂面がそうなるほどに、このバーベキューは牡丹にとって楽しいものだったのか。