天神学園のお忍びな面々

グイと。

牡丹が紙コップを呷る。

「…日のあるうちの酒は美味い」

…未成年が何か言ってますが、理事長何も聞こえませんでした。

「お、牡丹いいもん飲んでんじゃねぇか。あのケンケン喧しい大正娘が見てねぇ隙に、俺にもくれや」

龍鬼が紙コップを差し出す。

それに一升瓶を傾けながら。

「貴様随分と人が変わったな。丹下の霊が乗り移ったか?」

牡丹が仏頂面で言う。

丹下の霊て。

「いやぁ?俺ぁ元々こんなもんだよ」

龍鬼は紙コップを飲み干した。

「人間だって、性格裏表があんだろ?俺は色んな種族の血が混じってる分、それがはっきり出るだけだよ。吸血鬼や悪魔の血の性質上、どうしても強さを求めるからな…この丹下の血をベースにしてる方がより強くなれると、『血同士で』判断したんだろ」

天神学園OBの田中 啓太(たなか けいた)が、3つの人格を持っていた。

龍鬼もある種、それに似たようなものなのかもしれない。