天神学園のお忍びな面々

武家屋敷であるという思い上がりなのか。

近代的な警報装置の類は一切ない。

ヒールの高いブーツを履いていながら足音のひとつもさせず、影は板張りの廊下を歩く。

しなやかな足取り。

露出したスラリと伸びた足が、一歩一歩と歩を進める。

得た情報によると、最低でも四振りはこの屋敷に存在する筈。

流石に現宗主のは困難だろう。

やはり最初は、夕城三人衆と呼ばれる連中のものから狙うが定石か。

聞けばまだまだ未熟者らしい。

そんな連中が、どうしてそれ程の業物を所持しているのか、些か理解に苦しむが。

さて、何処の部屋にいるのか…。

息を潜め、まず手近な部屋の襖を開けようとした影は。

「探しているのはこれか?」

ヒタリと。

冷たい柊の刃を頬に当てられた。