天神学園のお忍びな面々

甲斐の言う通り、痛みはなかった。

寧ろ体がポカポカとしてきて、心地良い。

気が付くと。

「……」

美緒はスゥスゥと小さな寝息を立てて、眠ってしまっていた。

薬湯は、目が覚めた時に飲んで頂けばいいか…。

睡眠は、時に如何なる良薬よりも効果を発揮する事を、甲斐は知っている。

今は美緒様にゆっくりと休んで頂いて、少しでも早く回復して頂かなければ。

幸い、風邪も大事には至らないようだ。

大した事がなくて一安心といった所か。

安堵の表情を浮かべ、甲斐は聴診器を片付ける。