『出会う前から慕っていた』

花見の夜のリュークの言葉に、ディアの心は揺れていた。

…そんな風に、考えた事はなかった。

初めての出会いは、大好きな美緒の従者として。

生真面目で、武道一筋な男の子という印象だった。

それが運命の悪戯で、寧ろ従者なのは美緒だったと分かった後も、印象は変わらない。

武道にひたむきに打ち込む、親戚の男の子。

負けず嫌いは兄にも似ていたし、男の子らしさは好感が持てる。

しかし、それが恋愛感情かと問われると…。

「…はぁ…」

小さく溜息をつき、俯き加減。

顔を合わせづらい。

どんな顔をして、リュークと向き合えばいいのだろう。