ハタと。

何かを思い出したように、白雪が箸を止めた。

スックと立ち上がり、牡丹の一升瓶を拝借。

トテトテと桜の樹に近寄ると。

「………………………」

一際大きな桜の樹、その根元に一升瓶の中身を注ぐ。

天神学園の桜の結界の中で、最も大きな桜の樹。

『花の王』と呼ばれる桜の樹だ。

「……………今年も綺麗な桜の花………………………有り難う…」

牡丹には申し訳ないが、白雪は一升瓶の中身を全て注いでしまう。