その昔、天神学園といえばイベントは全校生徒がほぼ強制的に参加するものだった。

大体にしてお祭り好き気質の天神学園、頼みもしないのに手料理やら飲み物やら持ち寄って、勝手に宴の輪ができる。

某日、桜の結界が一望できる学園校庭の一角。

「遅いぞ貴様ら」

「ふぉっ?」

意気揚々一番乗りと、舎弟?の白雪と美緒を引き連れたエレナが会場に到着すると、そこにはいい感じに酔っぱらった牡丹が胡坐をかいてブルーシートの上に座っていた。

「ぼ、牡丹…ここで何をしているのですっ?」

「花見なのだろう?場所取りをしておいてやったまでの事」

天神学園敷地内で行われる花見に、場所取りの必要があろうか?

そしてブルーシートのあちこちに転がっている一升瓶、それはまさか…。

「これは…水だ」

一升瓶数本もの水を飲み続ける奴がおるか。

「米の水だ。たまに麦の水も飲んだりしたが」

他に麦の炭酸とか芋の水とか葡萄のジュースとかも飲んだんですね分かります。

天神学園は未成年ばかりだから、生徒が飲酒したなんて理事長拷問されても言えません。