誰に言われるでもなく、悟った。

生まれて初めて味わう、斬撃の感触。

これが斬鉄か…。

これほどの斬撃を生身に受ければ、あの男も致命傷は必至。

そう思い顔を上げると。

「……」

男はいなかった。

手負いになり、逃走を図ったかとも考えたが、周辺に血痕はない。

まさに煙の如く、男の姿は消えていた。