確か今年の元旦。

然したる興味も持たず、形だけの儀礼に意味などないと考えた筈ではなかったか。

牡丹は夕城 翡翠の墓前に立ちながら、そんな事を思っていた。

椿や蘭丸、他の夕城三人衆は今日はいない。

エレナなどは、稽古もほったらかして何処に行ったと、今頃怒りに赤くなっているのではないか。

「……」

手を合わせるでもなく、墓前に供え物をするでもなく、柊片手に牡丹は立っている。

今日は春分の日。

宗派問わず、墓参りをする日でもある。

が、そんな理由で牡丹がここに来る筈もない。