リュークは椿の顔を見た。

「お前とてそうだろう、椿。夕城次期宗主選定の儀…今すぐに次期宗主に相応しい力を持っていたのなら、選定などする必要はない。相応しい力を得られるかどうか、それを見極める為に、選定の儀というものはあるのだろう?」

「……」

目を丸くする椿。

「今足りぬと思うのならば、努力すればいい事」

「……」

実に、当たり前の事だ。

今すぐに相応しい力を持てなんて、誰が聞いても無茶な話。

だからこそ、今は修練の時なのではないか。

「僕は…」

椿は顔を上げる。

「もう少し道場で稽古してくるよ。斬鉄の精度をもっと上げなきゃ」