張り詰めた空気。

エレナが憤慨しているのが、無言のままでも伝わってきた。

「坊ちゃんそりゃあ急きすぎってもんだぜ」

言いかけた蘭丸の言葉を遮り。

「先頃、橘 龍鬼と勅使河原 龍駆が正式に龍娘流に入門したと聞く。エレナも知っていよう。龍娘流…夕城 翡翠を一度は倒し、夕城 瑠璃を窮地に陥れた流派。我が父真太郎も剣と拳を習得すべく、夕城本殿の鬼龍様に手解きを受けたという。剣術一派である夕城流が、体術においては認めざるを得ない…それ程の流派だ」

牡丹は一息に言った。