「これは勅使河原将軍家から与えられた赤道着。着替える訳にはいきません」

そう言ってリュークは、同じくリカと龍鬼の戦いを見守っていた美緒の顔を見る。

「将軍家から与えられたという事は、『父上から』与えられたという事ですから」

「リューク様…!」

美緒の表情が、ぱぁっと華やぐ。

それを見守るエレナにも、満面の笑みが浮かぶ。

「…よかろう、ならばお前の道着の色は不問とする」

ニッと笑うリカ。

「だが、お前が勅使河原将軍家の息子だろうと、稽古は加減はしない。不甲斐なければ容赦なく病院送りだ。それで構わんな?」

「ならば…」

リュークも不敵に笑った。

「稽古に熱が入り、俺が老師を病院送りにしてしまっても構わないのでしょう?」