天神学園のお忍びな面々

ここが2階で、そして龍鬼が人外の血を引いていて良かった。

更に高い階なら、怪我程度では済まなかったかもしれない。

割れた窓から身を乗り出し、フワリと着地するリカ。

「まだいけるだろう?」

「っ……」

龍鬼はヨロヨロと立ち上がりながら、乱れた灰色の道着の乱れを直す。

…灰色。

漆黒一色だった筈の龍鬼の道着が、僅かに色が薄まってきている。

龍鬼は、道着や肌の色が黒く染まっているのは、彼自身の吸血鬼や悪魔の魔力の影響だと言っていた。

その色が薄まっているというのは、リカとの組み手によって、魔力が発散されているという事ではないか。

鬱屈するほどの身の内の魔力が、消費されているという事なのではないか。

「結構結構」

リカは薄く笑った。

「体を動かす事で、発散して健全な肉体を取り戻す事は、武道でもスポーツでも理想だ」