…数時間前。

なし崩し的に腹出し爆睡部の門下生とされたリュークと龍鬼。

彼らは。

「終わりました、老師」

各1000回の拳立て伏せ、腹筋、背筋、スクワットを瞬く間に終えてしまった。

「このような稽古、初歩の初歩だと思うが?」

息も乱れず、筋肉も疲労していない。

龍鬼は寧ろ、肩が凝った風に首を回してみせる。

お腹を出して寝ても風邪を引かない、そんな強い子を育てる。

そんな方針の腹出し爆睡部だが、当初のリカの読み通り、強い子を育てるのに全然足りないようだ。

「全くの初心者が入部した時には、このくらいから始めた方がいいかと思っていたが、そうか…お前達には少々物足りないようだな。すまない、過小評価していたようだ」

意外にも、弟子達に頭を下げるリカ。

そしてその頭を上げた時には。

「…!」

かの完璧超人を彷彿とさせる、猫科の肉食動物のような眼光を湛えていた。