しかし。

「……」

甲斐は。

勅使河原将軍家子息・勅使河原 龍駆は。

美緒に何ら言葉をかける事はない。

「おい甲斐…いや、リュークか…とにかくよ」

蘭丸が肩を叩く。

「色々心中穏やかじゃねぇだろうけどよ。少しずつ折り合いつけて、オパーイちゃんともやってけよ」

「そうですよ。従兄弟として、私達もリュークの事支えていきますから」

リュークに声をかけるディア。

「おい、何とか言えってリューク」

レオもリュークに声をかけるが。

「…そうか」

ハタと我に返ったように、リュークは顔を上げる。

「リュークとは…俺の名だったか…」

その表情は、明らかに精彩を欠いている。