火災報知機の音で、今に教師達が駆けつけてくるだろう。

一旦場所を変える必要がある。

美緒を巡る蘭丸とレオの勝負も水入り。

面々は、この場を離れる。

…その間も、甲斐は心ここに非ずだった。

(俺が勅使河原将軍家子息…将軍様の息子だと…?)

上の空のまま、気が付くと天神学園の校門を出ていた。

学園近くの公園で、皆が呼吸を整える。

その最中。

「リューク様」

美緒は、突如として甲斐の前に跪く。

「み、美緒様っ?」

「美緒っ?」

甲斐が、そしてレオやディアが目を丸くして驚く。

勅使河原将軍家の長女である美緒が、護衛の甲斐に傅くなど…。

「いえ」

顔を伏せたまま、美緒は言う。

「勅使河原将軍家の御子息は貴方です、リューク様。私に与えられた任務とはいえ、これまでの非礼に次ぐ非礼、何とお詫びすればよいか…どうぞ心ゆくまで、処罰なさって下さい」