それは、瞬時の判断。

刺突を素早く縦に変化させ、牡丹は刀の腹で蹴りを受け止める。

ミシィッと、鈍い音。

柊ほどの剛剣でなければ、刀身ごとへし折られて肋骨も持っていかれていた事だろう。

吹き飛ばされる直前に。

「ぬう!」

横薙ぎを置き土産にする。

その切っ先は龍鬼の眼球に当たったものの、それでも無傷。

極意・斬鉄を仕込んでいない斬撃は、例え目を突いたとしても効果はない。

「…急場しのぎ…付け焼刃の極意では、大した結果は出せんか」

「修行が足りんな、夕城 牡丹」

電光石火の攻防を終え、両者は睨み合う。

「…………2人とも……やめて……!」

白雪が止めようにも、火が点いた2人は聞く耳持たない。