だが、そんな小岩井一族の思惑も。

「聞いたぞ」

この男には届かぬのか。

声がして振り向くと、そこには前を開けた学ランの男。

手にした柊は、既に抜き身だった。

「どうにも貴様と相対すると血が滾ると、以前から気にはなっていたが」

刃を、返す。

「俺にとっては、悪魔の血も吸血鬼の血も、ほんの些事」

夕城 牡丹は、眼をギラリと輝かせた。

「丹下の血!それこそが俺の夕城の血を滾らせる!夕城に生まれ落ちたならば、丹下の血は雌雄を決しなければならぬ因縁の相手!」