白雪は、先輩にそっと近づく。

暴力衝動は凄まじい。

敵意のない白雪でも、あまり近づいてほしくはなかったのだが。

そう思っていた先輩の首に。

「……?」

白雪は数珠をかけた。

大粒の、褐色の数珠。

「……お父さんの……結界仕込みの数珠……殺戮衝動や暴力衝動を、鎮静化させる……」

「……」

確かに、荒くなった呼吸が少しずつ落ち着いてくる。

白道着を着ていたあの頃と然程変わらないほどに、精神的にも安定してくる。