「お前は…よく平静を保てるな。同じく人外の血を引いているというのに」

先輩は跪いたまま、背後の白雪に声をかけた。

何時の間にか立っているのは、いつもの事だ。

「……………………おじいちゃんとおばあちゃん……私のご先祖様は、元々気性の穏やかな人外だったから……」

「小岩井 防人と雪菜…そうだったな…」

呟く先輩の頬からは、汗が滴る。

体が熱い。

北風に舞う雪が、体に触れると蒸発するほどに、先輩の肉体は発熱している。

狂おしいほどの、殺戮衝動。

最高学年とはいえ、まだ歳若い先輩には、鬩ぎ合う3つの血をコントロールするのは、まだ難儀か。