「えーと」

美緒は改めて、甲斐の顔を見る。

「お父様の所から護衛に来てくれた甲斐君ね。うん、覚えたわ」

一方的に手を取り、握手する美緒。

「よろしくね、甲斐君、何だかお兄ちゃんが出来たみたいで嬉しいなぁ」

何という人懐っこさだろう。

瞬く間に甲斐に懐いてしまった。

これはアレだ、知らず知らずのうちに男のハートを摑んで握り潰すタイプだ、きっとそうだ。

「あ、あの、美緒様…」

美緒の握手を丁重に解きながら、甲斐が言う。

「あまり姫君の立場の貴女が…不用意に握手などするものでは…」

「えー?何でぇ?」

クスクス笑いながら、美緒はもう一度甲斐の手を取った。

「甲斐君は照れ屋なんだねぇ?」