数発立て続けに打った時点で、甲斐はようやく呼吸を乱して技を止めた。

今の彼では、連続で10発に満たない回数しか打てないらしい。

…十分すぎる数だ。

10発連続フィニッシュブローを打たれ、躱し続け、防ぎ続けられる技量が、今の夕城三人衆にあるかどうか。

恐らくは途中で、あの番犬に喉笛を噛み千切られる事だろう。

あれが美緒の番犬、甲斐の実力。

可愛い顔をして、美緒はとんだ猛犬を飼い慣らしているものだ。

精悍な顔をしながら、狼の血を引いているウルフドッグを彷彿とさせる。

この寒い中、顎に滴る汗を拭いながら。