天神学園のお忍びな面々

「ですが」

エレナは、鞘に納めたままの菩薩で、甲斐の軸足をポンと叩いた。

「ここから真っ直ぐに踏み込みの力が伝わって」

次に、肘をポンと叩く。

「ここっ。ここが曲がっているせいで、踏み込みの力が十二分に伝わっていませんっ。ここをしっかり伸ばせば、打撃に全ての力が乗る」

「おお、成程」

甲斐は目を丸くしてエレナを見る。

「尤もな説明。いや、見事なご教授感服した。流石は夕城指南役」

「フ、フンッ…」

鼻を鳴らして目を逸らした後。

(な、何をやっているんですか私っ!)

エレナは赤面して動揺する。

(剣客ではないとはいえ他流の者に指導するとかっ!何を血迷っているの私はっ!大正乙女が聞いて呆れるっ!)