天神学園のお忍びな面々

粒雪(ざらめゆき)、だったか。

牡丹が技の名前を覚えて打っているかどうかは怪しいものだが。

この斬撃を、甲斐は素手で悉く捌いていく。

牡丹の剣筋を読み、重要な血管や腱のある腕の内側を保護するように、手の甲で剣筋を変えていく。

「番犬の戦い方は、敵を選ばん。相手の得物が何であろうと、対応してみせる」

「そうでなくてはな」

一旦後方に跳び、体勢を立て直す牡丹。

引き絞った柊を。

「行く」

一気に突き出す!

象牙(ぞうげ)

本来ならば、夕城流極意・斬鉄(ざんてつ)を纏わせて放つ一撃ながら、今の牡丹ではそこまでには及ばない。

これを。

「けぇえぇぇえぇっ!」

甲斐は、掌底でのアッパーで刀の腹を打ち、跳ね上げる事で阻止する!