「立派な森だ」

左手に納刀した柊を握り締め、牡丹は立っている。

眼前には、稽古の手を止めた甲斐。

「こんな森には、手土産に酒のひとつも持って来るべきだったかもしれんが」

「……おじいちゃんは……お酒あまり飲めなかったから……気にしなくていい。持って来るなら……かぼちゃプリンが喜ぶ……」

「珍妙な祖父だな」

言葉とは裏腹に、笑みすら浮かべず。

「!!」

牡丹は突如抜刀!

抜き打ちからの横薙ぎを、甲斐は間一髪で躱した。

「何の真似か」

「無論立ち合いだ」

鞘を無造作に投げ捨て、白い息を吐く牡丹。

一息吐いた後。

「っっっっっ!」

今度は無呼吸での連撃を、次々と甲斐に繰り出す!