「すまん…木を傷付けるつもりはなかったのだが」

折れた枝を拾い上げながら、甲斐は白雪に詫びる。

「……」

緩々と、首を横に振る白雪。

どの道枯れて、何れは朽ちていく筈だった木だ。

咎めはしない。

それより。

「……」

白雪は顔を上げる。

入って来ているのは分かっていた。

特に森を荒らすような思惟も感じられなかったので、迷わせる事も弾き出す事もしなかった。

何より顔見知りだったので、無闇に追い出す事もしなかったが。

「……何の用……?……牡丹」