天神学園のお忍びな面々

一転、美緒は宙を舞った。

白雪が冷気を放って路面を凍結させ、車をスリップさせて進行方向を変える。

そして。

「っっっっ…」

宙を舞う美緒は、蘭丸の腕の中にあった。

車に接触するよりも速く、蘭丸が彼女を抱きかかえて跳躍したのだ。

大柄な体格、筋肉質の体とは思えない、柔らかくしなやかな動き。

壊れ物を扱うように美緒の体を抱え、蘭丸はフワリと着地する。

「何をやってますか運転手!可憐な乙女を轢死させるつもりですかっ?」

エレナが一喝し、運転手は慌てて車で走り去る。

事無きを得たようだ。

白雪は小さく溜息をつき、椿がお手柄と、彼女の背中をポンと叩く。