ルナが言いかけた時だった。

「!」

突然振り向いた甲斐が、背後の扉目掛けて突進し、拳打を放つ!

銃弾の如き速度で打ち放たれた拳は、学園長室の重厚な扉に突き刺さって貫通し。

「…ひ…ひぇえぇえぇ…」

扉の隙間から顔を覗かせた女子生徒を、涙目にさせた。

「甲斐…この学園に間者や曲者はいないわ…そんなにピリピリしなくても大丈夫…それから…」

ルナはクスッと笑う。

「その涙目になっているのが、お探しの勅使河原 美緒よ…」

「何…?」

甲斐は目を見張って、今にも腰を抜かしそうな黒髪ロングの女子生徒を見た。