「…………先輩」

物思いに耽る先輩を引き戻すように、白雪が呼んだ。

「良からぬ事は…考えないで…」

「別に考えていないさ。こうして奴らとは距離を置いている。俺も好き好んで、天神学園に不要な闘争は起こしたくない」

「…………努々忘れないで」

白雪のボンヤリした表情が、僅かに冷徹さを帯びる。

「先輩は…かの臥龍の一族以来の…小岩井家の『封印案件』…」

「……」

「だから墓守もそこそこに…私は先輩の監視をしている…」