天神学園のお忍びな面々

「大丈夫ですわ大丈夫ですわっ！夕城流指南役夕城 エレナは、これしきの事で屈したりはしないのですわっ！」

散れ散れとばかりにクラスメイト達の手を払い除けて立ち上がるエレナ。

クラスメイト達も、こういう手合いは天神学園に多いので慣れているのか、必要以上には過保護にしない。

ようやく自分の席に座ったエレナ。

彼女は教室中をキョロキョロと見回す。

落ち着きがない。

「彼はいないのかしらっ？」

「彼？」

隣の席の男子が首を傾げる。

「貴方は御覧になってなかったかしらっ？今朝、校門の所で牡丹と一悶着起こした、黒道着の、殺意の波動出しそうな男っ！」

殺意の波動て。