学園の校門に差し掛かる頃。

「だーかーらー!」

キャンキャン煩い少女の声が、美緒と甲斐の耳に届いた。

「何で制服の前をはだけているんですのっ?」

「楽だからに決まっているだろう」

「ボタンは何の為に存在するんですのっ?考えなさいなっ!」

「俺は次の夕城宗主になる為に居る。決まっていよう」

「牡丹ではないですわっ!ボタンっ!」

「はっはっはっ、上手ぇ事言いやがったな坊ちゃん、座布団くれてやらあ」

「蘭丸には訊いていませんのっ!牡丹、ボタンを付けなさいなっ!」

「ややこしいよエレナさん」

「私だってそう思っていますわ椿っ!」

随分と喧しい連中だ。