「 詩乃ちゃん、眠ってるのは暁月じゃないんだ… 緋衣呂だよ 」
何を言ってるのかと、耳を疑った。
おかしな事を言ってるとしか思えない言葉。
「 風磨君… 悲しいのは私もだよ、だからって言っていいことと悪いことがっ… 」
「 詩乃! 俺が暁月だ、緋衣呂は… そこっ眠ってる 」
私は首を振った。
たくさん、たくさん振った。
何かが間違ってる、そう思うしかなかった。
「 違… そんなはずないもん、緋衣呂君いるじゃん、今目の前にっ
なんでそんな事言うの…… やめてよ…… 」
「 詩乃ちゃん… ほんとなんだ、今まで黙っててごめん 」
風磨君…?
どうかしたの? なんで、やめてよ……
「 嘘だよ、私の緋衣呂君なわけないよ… 」
「 詩乃… 」
「 やだっ!! 違うから、緋衣呂君じゃないんだからっ…… 」
何がどうなって暁月君を緋衣呂君だって言うの?
おかしいよ……
眠る緋衣呂君の手を握りしめて、涙で見えなくなる緋衣呂君をただだだ、見つめた。
お願い、緋衣呂君……
私を一人にしないで、緋衣呂君……
「 緋衣呂君、好きなの… 私の涙拭いてよ 」
お願いだから…



