「 双子って、不思議だよな… 意志疎通って言うけど、暁月と緋衣呂… 同じ女を好きになるのも運命なんだろうな 」
風磨はそう話しながら見つめる先に眠る暁月。
「 なぁ 俺… 苦しいわ。詩乃ちゃんを騙してるから… 」
「 そうだな、詩乃にはわからないだろうな 」
「 このままじゃ、二人がかわいそうだ 」
「 風磨… 遠くないうちに俺も…… 」
「 言うなっ!! ふざけんなっ 」
風磨君は決まってしまっている変えられない運命に涙した。
悔しくて、何も出来ない自分……
どんなに思っても変わらない双子の定め。
そして……
風磨君はベッドの側に行き声をかけた。
「 なぁ お前の願いはきっと叶う… 詩乃ちゃんは俺が守るよ、でもまだ早いよ…
俺と詩乃ちゃんを置いてくなよ、頼むよ……
なぁ 緋衣呂…… 」
「 風磨… 俺が緋衣呂を一人にしない 」
「 俺は! 二人とも失うなんてごめんだよっ 」
そう… このベッドで深い眠りの中にいるのは暁月ではなく、緋衣呂。
双子は入れ替わっていた……
それを知るのは風磨だけ。
雪舞う夜に詩乃と結ばれたのは暁月だった。
緋衣呂より体の弱い暁月が倒れたのではなく、緋衣呂自身が倒れ、詩乃を思う緋衣呂のために暁月が成り済ましていた。
暁月とて、詩乃を思っていたから。



