まだ暗い朝に近づく時間。

目が覚め、緋衣呂君の腕にいる事を確かめて見つめる。


なぜか、涙が込み上げて……

溢れて……

緋衣呂君の腕に涙が伝い落ちていった。



「 なんで泣くの?」



なんでかな、わからない。

わからないけど……

緋衣呂君が遠くへ行っちゃいそうで……



「 好きだよ、緋衣呂君… 」

「 詩乃… 俺も好きだよ 」



うん… うん…… 知ってるよ。



それから緋衣呂君は私の部屋を出て、私は少し大人になったのかと照れと恥ずかしさでいっぱいになった。


その頃、廊下先で壁に体を預けるようにしていた緋衣呂君。

そこへ風磨君が駆け寄る。



「 おいっ、大丈夫かっ 」



腕を自分の肩に回し支える風磨君。



「 お節介だな、お前は… 」

「 よくわかってんな、黙って支えさせろ 」



二人はある部屋へと入る。



「 これで良かったのか?」

「 さぁな… 」