池沢家の別荘は信州にある。

風磨君と電車で向かう中、流れ行く風景はいつしか雪が舞っている。

約、二時間。

電車からホームへ降りると、風磨君が私に見るよう指差した。



あ……



目に写る彼に、私は思わず駆け出した。



「 緋衣呂君っ…… 」

「 詩乃… 」



飛びつくように抱きついて抱きしめて、離したくないときつく腕を回していた。



緋衣呂君だ… 本物だっ……

私の緋衣呂君… やっと……



「 詩乃… 顔見せて 」

「 やだ… 見せてあげない。私の事忘れてたでしょ 」

「 毎日詩乃の事、考えてたよ 」



嘘つき~



あれ、緋衣呂君… 痩せた?



「 緋衣呂君、大丈夫?」

「 …やっと顔見えた。詩乃だ、可愛い 」



え… えー!?

緋衣呂君が、可愛いって言ったぁー!