さすれば恋となる


申し訳なさそうな笑顔を見せる緋衣呂君にたまらず、もう片方の手で緋衣呂君の手を包み込んだ。



私、そんな顔の緋衣呂君は見たくないよ。

悲しげで儚さそうな笑みは、嫌……

なぜか嫌だよ……



「 詩乃… 夢物語によくある前世とか定めって信じるか? 」

「 え… 」



夢物語、前世? 定め?

どちらかと言うと私には縁遠い気がするけど…



首をかしげる私に、気にするなと緋衣呂君が額を突付いた。



どうしたの、緋衣呂君……



バス停まで来てバスに私が乗り込むと緋衣呂君が見えなくなるまで見送ってくれる姿を、私も見えなくなるまで見ていた。



緋衣呂君… さっきのは意味があるの?



気になり仕方ない私は叔父さんの店のある手前でバスを降りた。

叔父さんの営む店、ヒイラギ。

店に入れば個性豊かなアクセサリーがたくさん輝きある。



「 詩乃、おかえり。早い帰宅だな 」

「 叔父さん… ただいま 」

「 ……詩乃、久しぶりに作るか?アクセサリーを 」

「 そうだね、うん 」



私にはアクセサリーを作る趣味がある。

そしてその趣味は密かに商品となっている。

誰も知らない、叔父さんと私だけの秘密だ。