緋衣呂君を呼んだ声が、怖く感じた。
似ている二人を目の前に戸惑うばかり。
「 緋衣呂、ちゃんと紹介してよ 」
緋衣呂君が目線を私に向けて言った。
俺の彼女だと… その顔は言いたくなかったように見える。
「 名前は?」
「 あ… 私は…… 須田 詩乃って言います 」
「 詩乃… そう。緋衣呂がお世話になってます、俺は双子の兄で暁月(あかつき)です 」
双子、お兄さん?
だから似てるんだ…… 一卵性って事かな。
「 詩乃、送るから 」
緋衣呂君に背中を支えられながら、冷たい視線を受けながら玄関を出た。
緋衣呂君に手を繋がれていて、嬉しいのに少しだけ痛くて……
「 緋衣呂君、待って 」
バス停が見えてきた時、私は呼び止めた。
胸に、何かがつっかえた様な感じだった。
「 暁月は気にしなくていいよ、ごめんな 」
「 ううん、私は大丈夫! でも、なんか怒ってたみたいに見えたから… 」
お兄さんの暁月君が……



