さすれば恋となる


緊張の中で呼ばれて高い声で返事した私。



「 詩乃、深呼吸したら?何にもしないから 」

「 あ、うん… 」



何にもしないからって言われちゃったよ……

それってどうなの?

私は彼女なのに、言われたらちょっと悲しいんですけど……

トホホ……



「 緋衣呂君は何人家族?」

「 秘密 」

「 えー、なんで?」

「 秘密にしときたいから 」



不思議だ、家族を秘密にするなんて……

きっと私に家族の話をしても、そう考えてるのかもしれない。



「 緋衣呂君… 」

「 なんか飲み物、待ってて 」



部屋を出た緋衣呂。

しばらくして私はトイレに行きたくなり、部屋を出てみたが、それらしい戸がわからない。

勝手に開けるわけにもいかずいると、カタッと小さな音が耳に入った。

音がした部屋へ向かい立つと、開けてみようか、そんな気になった。

そのドアノブに手を掛けようとした時だった。



「 詩乃っ!!」