緋衣呂君の彼女だから、緋衣呂君の特別な笑顔は私だけのもの。
ただ髪に触れられただけで、今はもうドキドキが流行る。
緋衣呂君が好き……
「 詩乃、もう出よう 」
「 うん 」
いや~ まだ一緒に見て回りたいっ
でも言えない……
デパートを出て、冷たい風が通る。
バスでの帰り道に思うのは一つだけ。
まだ、帰りたくない。
それだけ。
「 詩乃… 」
緋衣呂君に呼ばれて顔を向ければ、何でもないと言う緋衣呂君……
気のせいか、どことなく寂しい顔に見えた。
窓側に座る緋衣呂君に夕陽がほのかに当たる。
儚い…… その言葉が当てはまるように見えた緋衣呂君。
「 詩乃、まだ時間ある?」
「 え… うん、あるよ!なんで、どっか行く?」
「 連れて行きたいとこある 」
「 うん、行く!」
デートはまだ終わらない。
私は緋衣呂君に着いていく。



