さすれば恋となる


「 詩乃?」


いない… トイレか?



詩乃がトイレかと思い、俺はトイレの付近でしばらく様子を見ていたが、いないようだ。

考えてみた。

女は服やアクセサリーが好きだろうと探しに階を下りて店を順番に見ていく、さすがに下着の店だけは遠目に見ただけ。

でも詩乃はいない。

さらに階を下りてもいない、また戻り本屋へ来たが詩乃はいない。



詩乃…… どこに行った?

ガキじゃあるまいし迷子なわけないだろ。

ったく、俺も詩乃から目を離すとは……



スマホを手にして詩乃へ電話をかけるつもりで
画面を見るとラインのアイコンが。



「 詩乃… 」



“百均に行ってるね”



「 バカかっ 」



急ぎ本屋の隣にある百均に行くと詩乃が箸を目の前に真剣に見つめていた。

声をかけようとしたが、あまりに真剣に見ている詩乃を見ていようと思った。

手にしては戻し、並べて見ては変えてみたり、その表情を見ているのが楽しい。

いつ、俺に気づくのか……

俺を見た時の驚き、嬉しそうな詩乃が見たい。

そんな詩乃を可愛いと思うんだ。