待つ時間が過ぎていく。
10時半、緋衣呂君はまだ来ない。
少しだけ不安に感じていると、俯く私の視界に誰かの足が見え顔を上げた。
……緋衣呂君。
「 詩乃 」
「 おはよ、緋衣呂君!」
カッコいいよ、緋衣呂君……
「 待たせてごめん 」
「 ううん!全然、大丈夫だから 」
会えたし、私単純だから。
それに、今日はデートだから手を繋ぐかもしんないしね。
「 待ってる詩乃を見たくて待たせた、じゃ行こうか、映画 」
え… え?
緋衣呂君?
「 緋衣呂君、待ってる私の事見てたの?」
「 見てたよ、俺をじっと待ってる詩乃の顔が見たくて。待ち遠しい顔から不安になる顔まで見てた 」
な、な…… なんで?
じゃあとっくに来てて見てたの?
何が楽しくて?
緋衣呂君、それって……
私で楽しんでるの?



