緋衣呂君は怒ってる。
少しでも緋衣呂君意外の男子に告白されると思い浮かれていてた自分がバカみたい。
反省、しなくては。
でも、怒ること?
「 あ、池沢君?」
緋衣呂君の背後から聞こえた女子の声。
私の手首を離してクルリと優しい笑みで返事する緋衣呂君。
「 何? 池山さん 」
池山さん、ね……
「 日直だから探してたの 」
「 そうだったね、ごめんね、すぐ行くよ 」
なんて優しい口振りでしょう。
池山さんが先に行くと、不貞腐れる寸前の私に向き直り……
「 詩乃、キスしてやんないからな 」
顔を近づけ、また触れそうで触れない唇がそう言った。
緋衣呂君はそのまま行ってしまい、腰が抜けたように私は座り込んだ。
なに…… 今の、あの微妙な……
も、もどかしいったら!!
キスしないとか、言わないでよ……
まだ、一回しかしてないんだから。
また、緋衣呂君にキスしてほしかった……
って言うか、そんなに怒らなくてもいいでしょー!!



