優しい彼氏の緋衣呂君。

彼の顔が俯き何やら空気が重いような……



「 詩乃 」

「 はい」

「 両手、出せ 」



両手?



言われてそろりと出すと、両手首を掴まれ後ろへグッと回されて……

そのまま後退していく。



「 緋衣呂君… あの、後ろ歩きじゃ… 転んじゃう 」



なんでこんな事にー……

私まだ何もしてないのに~



ドン、と奥へ背がぶつかった。

そして緋衣呂君の顔がやけに近くにあって、心拍数が異常。

キス… 強引なヤキモチのキス……

それをされると思った私だった。


でも、私を見おろし見つめる緋衣呂君の目が怒ってる。



「 詩乃にキスはしない 」



緋衣呂君はそう言った。

しかも、触れそうで触れない唇がそう言った。

私の目を見つめながら……


ドキドキ…ゾクゾク…



「 緋衣呂君…… 違うの…… 」

「 詩乃を呼び出すのは俺だけ、俺意外はない。俺意外は許さない 」

「 はい… 」



怒ってる、すごく!

だからキスしないって……

そんな~ 緋衣呂君の意地悪っ