トイレから出ていけばまだ、二人は楽しそうに話していた。
本当は違うのに。
そう、これから緋衣呂君の見えない一面を見ていく事になる。
「 叔父さん、先に帰るね 」
「 おう、気をつけろよ 」
「 大丈夫ですよ、俺がついてますから 」
緋衣呂君のニヤリとした笑みが叔父さんの勘に触ったのは確か。
店を出て緋衣呂君が送ってくれる。
「 詩乃、止まれ 」
「 なんで?」
あれ、と指差す緋衣呂君。
見れば少し先から犬を連れた人が来るのがわかった。
それ以外は特に気になるものはない。
「 もしかして、犬怖い?」
ギロッと見られ、ビクッとなる私。
図星かぁ……
でも、チワワだけどな。
可愛い……
「 詩乃、立ち位置変われ!」
「 え、あ、ちょ… 」
え~ そこまで嫌?
チワワなのに……
「 う、わっ… 」
ほんとに、嫌なんだ……
緋衣呂君へっぴり腰って、どうなのよ……



