この春で会社に入って4年目になる。DⅠYの工具用品や園芸用品を全国のホームセンターに卸す商社で、創業は100年を越すらしい。元々はカマやクワなんかの農耕用具の専門店だったとか。需要は伸びてる分野だからか思ったより安定企業で。千也に4年制の大学まで出させてもらったのもムダにならなくて良かった、本当に。

 女だし専門学校で十分だって云ったのに、千也は頑として聞き入れなくて。あたしも一也も私大に行く頭しか無かったから奨学金で通い卒業後に全額、千也が返済した。
 ホストで稼いだお金はほとんどあたし達の学費に消えたと思う。最初からそのつもりで、千也はホストになった。・・・ていうのが正解かな。
 
『オレの天職だよ。モテるし楽しいし』

 お酒も飲むし夜の仕事だし、身体を心配するあたしにいつも千也は笑ってた。辞めてくれた時はホッとした。あたしも一也も働いてる、千也だけに無理はさせない。心の底からそう思ったから。

 仕事は良くも悪くも単調でやりがいは無いけど、人間関係も普通だし何より。残業が無いのが一番嬉しい!
 5時半退社で、通勤時間は電車と徒歩で約50分ほど。帰りがけにスーパー寄って、夕飯の支度はあたしの分担。千也は6時半前に出てくコトが多いからギリギリ会えない。一也はだいたい九時過ぎに帰って来る。それまでに洗濯済ませたり、お風呂掃除したりもして、会社にいるよりよっぽど忙しいんだってば。