妊娠検査薬の結果を真っ先に千也に伝えたのも、やっぱりベッドの中で。抱き付いたままだったから、どんな表情だったかは分かんない。ただ。

「・・・・・・愛してるカナ」

 強く抱き締められて、ひどく切なげに耳許で云われた初めての言葉に涙が溢れた。



 一也は。黙ってじっと見つめた後、キスを落として「大事にしなよ」とあたしを抱き寄せ、その夜は一緒に眠った。




 本当にこういうとき甲斐甲斐しいのは一也で。早速、通院できる範囲の産婦人科の口コミを調べ上げ、初めての妊娠、出産が優しく解説してある雑誌やら本を数冊、ドンとあたしと千也の前に並べた。

「さすが仕事早いねぇ、一也クンは」

 千也が呑気な笑顔を見せれば。

「予行演習してるだけだ」

 冷めたカオで言い返されてる。
 さすが一也。転んでも、絶対タダじゃ起きない子。



 それから会社に、妊娠と結婚を理由に退職の意向を伝えた。結婚は、そう言っとかないとイロイロと面倒になるからで。引き継ぎも踏まえて8月いっぱいで辞めることになった。って言ってもその頃はつわりが来そうだし、有休消化も兼ねてほとんど会社には行けないだろうって思う。

 みなみ先輩は恨みがましそうに散々、ヒドイ、ズルイを連呼して。やっと最後に「でもオメデトっ!」とさっぱり笑った。悪いヒトじゃないんだよねぇ、と気を抜きかけたら。

「でさ、ダンナさんてどんな人なのよっ?」

 好奇心ランランの眼差しが待ってた。やっぱり天災とみなみ先輩は、避けきれないかもシレナイ・・・・・・。