この手だけは、ぜったい離さない




追野くんは「大切にしないとね」なんて笑いながら、男子更衣室に入って行った。



小さいころからずっと仲良しでいられる関係、かぁ。

確かに、そんな関係ってなかなかないよね。



幼稚園児のころもふたり並んで歩いて、小学生のころもふたり並んで歩いて。

今でもふたり並んで歩ける人は、たったひとり洋くんだけだもんね。



洋くんとは今もこの先も、ずっとそんな関係でいれたらいいのにって思う。

前にも言ったように、お爺ちゃんとお婆ちゃんになっても一緒にいられたらって。



でも……そんな関係っていつまで続くのかな?

周りから硬派だって言われている洋くんでも、いつかは誰かに恋をするわけで。



そうなってしまえばもう私は、洋くんと一緒に帰ったり、アイスクリーム屋さんに行ったり。

お弁当を作ってあげたりとかって、もうできなくなってしまうのかな?



私の代わりに、そんなことを別の誰かがするようになったり……?

『ごめんあかり、もう一緒に帰れねぇわ』

って、言われる日がきちゃったり……?



そんなことを妄想していると、なんだかすごく寂しくなった。

なんだか……そんなの嫌だなぁって。



モヤモヤを抱えたまま、女子更衣室の扉を引き開けた。